2014年6月30日月曜日

第2回ツール・ド・さくらんぼに行ってきましたが…


 はいどうもこんにちは、漬物さんですよどうもどうも。

 掲題の通り、第2回のツール・ド・さくらんぼに行ってまいりました。第1回は素晴らしい大会で、来年も絶対に参加するぜ!と気合の入った我々は、申し込み開始とほぼ同時に(確か飲み会帰りだった気がする)参加申請を行い、一日千秋なんてまだまだ甘い、くらいの勢いで楽しみにしておったわけです。

 昨年の様子はこちらにございます。やあ、本当に楽しかった。土曜日開催と言うこともあって、終わってから飲みに行くこともできたし、ささやかながらも山形にお金を落とすこともできました。やー、今思い出しても本当に楽しかった。本当に。


 で、今年はといえば、悪い面しか見えない大会でした。一年でいったい何があったんだというくらいの豹変。運営の体制が変わったのか、スポンサーの意向なのかはよくわかりませんが、いろいろ中途半端な大会でした。


 本来なら楽しげな写真だの苦しげな写真だの入れつつレポートしたいところですが、敢えて今回はしません。一参加者という立場でしかありませんが、苦言を呈させていただこうと思います。


1) なんで日曜開催?
 前回は土曜開催。なぜ日曜開催にしたんだろう。気の合った仲間たちと飲みに行けるわけでもないし、130kmの山岳コースとなれば、ブルベをガンガン走るような人でもなければ、やっぱり疲れてしまうわけですよ。たいていの人は月曜日にはお仕事でしょう。車で来た人たちが帰るときにはかなりの負担どころか、自己を誘引しかねないと思うのですよね。なんで変更したのかしら。
 おそらく、受付も前日を推奨していたようでしたから前日受付→寒河江に一泊というのを描いていたのでしょうけれど…寒河江SAという便利な立地では無理ですよ。蔵王ヒルクライムとかなら別ですけどね。あれもたかだか2時間のヒルクライムだから成立するのであって…。

2) 大雨雷警報の中での開催
 山の雷というのは、落ちてから地上で走ったり、地上から空へ雷が発生するなど大変危険だったりします。仙台市内の某高校では、1年生が栗駒山登山へ行くのですが、必ずこのことを指導され、間違っても地面に伏せるなんてことするんじゃないぞとくぎを刺されます。自転車、それに付随する金属パーツを持っている我々の近くに大きな雷が落ちた日には…ぞっとしますね。

 開催前からの大雨はブルベ班でもドン引きするくらいの雨量でした。コース区間内には危険な下りカーブが何か所かあり、ガードレールも何もない、細いブラインドカーブがあります。
 かてて加えて、事前に法面が崩壊しているところやアスファルトが浮いているところも運営側は把握しており、当日の0300時に見回りに行き、そのうえで開催を決めたとのことですが、案の定、事故多発。警察が開催を中止するように指導したなんて噂も出てますね。

 スタート後、確かに晴れました。が、路面はぬれてるだろうし、ロードバイクが主なんだからみんなスリックタイヤで滑りやすくなることなんて容易に想像がつくでしょう。なんで開催しちゃったのか…と。開催するにしても、危険なコースは迂回させるとか短縮させるとか手はあったでしょう。

 開催を中止することにはかなりの勇気が必要だというのはわかります。その決断が誰のための決断であるかが大事なのですが、果たして参加者のことを考えてくれての決断だったのでしょうか?

3) 中止のプロセス
 我々はゆっくり、雨の中を月山湖エイドに向かってました。道々に低体温で震えてる人やおそらく転んだであろう人を見ながらエイド近くのスノーシェッドへ入ると一面のサイクリストたち。なになに、何があったの?と聞いても、いやなんだか事故があったらしくって…と状況が良くわからないままに雨宿りしているとのこと。
 先頭まで行くと、けが人がいました。グレーチングの隙間に前輪を突っ込んで前転、前歯と腕をおった「らしい」という情報。スタッフが3人ほど救急車の手配などしていましたが、特に全員に説明があるわけでもなく、車で道をふさがれて前には行けない状態になっているという。
 外では激しく雷が鳴っており、まあ、うん、なんとなく、ここで休むべきなのかなという空気のなかでどうするかを決めかねている―そんな雰囲気でした。
 あと5分たって何の進展も説明もなかったら帰ろう、としたときに、スタッフから「中止するかどうかは月山湖エイドで判断するのでそこまで進め」との指示が。なんだい中止かい…だったら月山湖まで行かずにここから戻らせればほぼ下り貴重なうえに近い。なんでそこまで行かせるんだ?

 100名ほどのサイクリストが、雨の降る狭い道をゆっくりと登るだけでも危ないのに、案の定、ふらふらして接触しそうになってる人はちらほら居て、さらに危険。うーん、と周りを見ながら何とか月山湖エイドに到着します。このころには雨は上がって安全な状態に。

 到着すると、何やら良くわからない指示が。
 右側に自転車を止めてそこで待機してくださいという声と、中止らしいという声が同時に聞こえてき、何が何やらわからない状況。時間は1300時を少し回ったくらい。御昼どき、とにかく腹が減ったので、自転車を…用意されているバイクラックは既に満杯だったので壁に置いて、エイドをいただきにテントへ。すると、なんということか。エイドが何もない、とのこと。いやいやいや、全員分用意されてるはずでしょ?確かにクローズ時間は超えているけどそれはスタッフの指示でとまっていただけであって、それがなければ確実に間に合ってる。いやもう、自慢の郷土料理なんかじゃなくてもいいからなんか食べるものないの?バナナでもいいから!と探し回るとアミノバリューだけしかないという為体。おいおいおい…。

 で、結局中止なのかどうかわからないままスタッフに「で、結局中止なんですか?どうしたらいいんですか?」と聞くと、「中止と聞いております」とのこと。いや、聞いているじゃなくて、どうなんだよ実際。回収車が続々と来ているのは自主的に辞める人なのか、中止だから来てるのかどっちなんだ?と混乱は各所で。

 とりあえず腹を満たさなければしんじゃうなということで、ダム湖にある道の駅のようなところの売店で山菜焼きそばを食べることに。店内にはずぶ濡れのサイクリストと普通の観光客。カレーパンはあっという間に売り切れるわ引いてあったござ風の座布団はぬれちゃうわと惨憺たる状況。なにより、なんでここまで来て自腹でご飯を食べなくちゃならんのだという理不尽感がすごくあり。もし、財布を持っていないサイクリストがいたらどうするつもりだったんだ。

 結局、スタッフが叫んでいる内容を聞くと、回収車が来るから待ってろと。帰る人も続行する人も自己責任でお願いしますとのこと。自己責任てお前…なんだそりゃあ。後から聞いたら、結局コース通りに行こうとしたら通行止めになってたらしいとのこと。情報もないのに判断できるか。責任取れるかよ。

 ツイッターでどなたかが言ってましたが、ホスピタリティのかけらもない。中止は大変勇気がある事であるというのはよくわかりますが、中止したことによる影響を何も考えてないと言われても仕方がないくらいの状態だったと私は思いました。

4) 大会終了後
 で、今の今になっても運営側からなにも通知がないんですよね。フェイスブックでも大会公式ページでも「スタート直後に晴れ上がりました!」だけで中止したというアナウンスもなければ事情説明もない。せめて何があって、どういう材料があって中止を判断したのか。それくらいは説明してくれてもいいんじゃないか。
 おそらく運営側だって、悪天候でいろいろなことが重なってしまって悔しい思いをしているのだろうというのは良くわかりますが、なんで説明も、情報提供も、何もないまま尻切れトンボになってるんだろう。それはお金をとって開催するファンライドイベントの運営として正しい姿なのかなあ。

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 他にもいろいろ言いたいことはあるけれど、最初から最後まで残念な大会でした。第二回ということもあり、トラブルの対応に慣れているわけもないのもよくわかっているつもりです。でも、敢えて、今回こんな感じで文句を書き散らしました。できれば運営の方がこれを一読くださって、参考にしてもらえたらなあと思いますよ。

 ファンライドイベントといえども自転車はそれなりに危険を伴う乗り物です。その危険を把握し、排除できるものは排除し、排除できないならケアができる体制が取れないのであれば、もしかしたら、2~3年お休みして練り直してもいいんじゃないかしら、と思うわけです。応援はしています。しているからこそ、とても残念でした。

 来年の開催があるのかどうかすらわかりませんが、とにかく、楽しみにしていただけにとても残念な印象しか今は持っていません。

 頑張ってほしい気持ちも、安全管理等々のレベルが維持できないのであれば頑張ってほしくない気持ちもあり、とっても複雑な胸のうちでした。
 

2014年6月20日金曜日

【実況終了】BRM621 宮城400 鳥海高原 実況板


はいどうも、漬物さんです。
 明日は待ちに待ったブルベ当日。天気は残念ながら良好のようですね。天気さえよければまさに風光明媚。鳥海山はもちろん、飯豊連峰をはじめとした素晴らしい山並みと、眼下に広がる田園風景を目にすることができるでしょう。うらやましいねえ。

 さて、我々夫婦は PC3 からコース上で待機でございますよ。観光する場所はあんまりないのですが、鳥海山を越えてきた勇者たちをたたえるべく全力で温泉に入ったりもぐもぐしたりしたいと思います。


 ツイッターでつぶやくってのもいいのですが、宮城1000の時のようにここで実況してみようかなと思います。気になる方はこうご期待。とはいえ、電波状況はかなり悪かったはずなので、あまり期待しないでくださいねー。

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20日2150時
 明日早朝に町内会の清掃があったことを思い出してしまったので、スタッフ業はPC3からとなります(; ̄ェ ̄)

21日0800時
 ( ˘ω˘)スヤァシステム展開終了。いざ象潟へ。

20日1230時
 PC3 近くの道の駅でご飯…と行きたいのだけど下手すりゃ1300時には誰か通過するしなあ、ということでガストに変更。海みながらミックスフライ定食を食べることになるとは…とほほ。

さて、我々はここでお待ちしています。

20日1415時
ごとーさん着200kmを7時間15分とかハンパない… 

20日1545時

 続々と人が。鳥海山にやられたランドヌールたちが疲れた顔してやってきます。
時間帯によっては追い風の人もいれば、向かい風に当たってしまった人も。それぞれのバイクを視姦しながら写真を撮りまくるなど。

疲れてますなあww

20日1750時
PC3クローズ一時間前。
残りはおそらく3人かな?皆さんなかなかの疲れっぷり。待機スタッフは楽しくおしゃべりなう。えー、いま、撮り鉄ランドヌールが電車の音に反応して小走りにかけていきました。元気じゃねえかww

20日 2120時

PC4クローズ6分前。最後尾の走者が入ってきた!遠征での400はきつかろう…と思いつつも、チーム亀太郎さんなので安定走行なのよねえ。

 明るいライトの話題で盛り上がるランドヌールたち。やっぱり装備気になるよね。


 この後、某K関さんのが上位機種であることが本人から明かされるなど。

 20日2230時
 PC5着。皆さんだいぶお疲れの模様。途中のコンビニ、トイレ、道の駅などて休む人がちららほらら。道の駅おがちはシャワーはあるわ畳の休憩室があるわ…という素敵プレイスだという情報は皆さん知ってるらしく、あそこに行ったら終わりだ、と逆に足が遠のいている模様。快適過ぎて寝坊しちゃうもんねえ。


22日0205時
死屍累々?と言うかなんと言うか。サクッと行っちゃう派が大勢をしめているかな?意外に和気あいあい。


 さて、我々も若干の仮眠を取れたので意外に元気。安全運行を心がけたいところ。


22日0510時
 17名ゴール。赤倉温泉超えて程なく霧雨。参加者にとって福音となるかどうかは…どうなんでしょうねえ。
 コース上は意外と死屍累々。でもまあ、まだまだクローズまで時間あるし。さあてどうなるかなー? 


22日0713時
 残り8名!参加者と盛り上がったり参加者そっちのけで盛り上がったり。



22日0808時
 後一人!ブービーはこの自転車。


 わらわらとみんなでためつすがめつ(・Д・)

22日0815時
最終走者帰還!これで、今回のブルベはDNSが5名、DNFは4名という、過酷なコースの割りに完走率の高さが際立つ結果となりました。参加者の皆さんお疲れ様でした。スタッフの皆さんも長い間お疲れ様でした。無事故でおわれたことを寿ぎたいですねえ。


 0820時には撤収完了。ご挨拶しながら三々五々に解散となりました。最後に一雨来ましたが、概ね好天に見舞われ…見舞われ過ぎていろいろ搾り取られた人が多かったブルベ。コースは正直キツイものでしたが、ランドヌール宮城のちょいワル社長曰く「おっかしいなあ、楽だよなあこのコース。ねえ?そーだよねえ」とのこと。いやあ…どうだろう(; ̄ェ ̄)

 何れにせよ、無事ブルベの全行程を終了しました。家に帰るまでがブルベ。気をつけて帰ろうと思います。では皆様、お付き合いありがとうございました。また、来月、宮城600で。アデュー。



2014年6月17日火曜日

【追記有】 【 BRM621 宮城 400km 鳥海高原 】 試走に行ってきました

 はいどうも、漬物さんですどうもどうも。
グランフォンド飯豊では思うさま干されて空っからになったわけですが、水分はたっぷり補給しました。ええ、そう、そうですよ。しっかり雨粒をこの身体に吸ってきましたよ…。


 スタッフ試走の公式なレポートは、後程ランドヌール宮城のページで発表されます。こちらはあくまでも私的なレポートとなりますのでお間違いなきよう。




 ちなみに私、今回で初めて 400 を走りきることができました。以前チャレンジしたのは、スーパーアタック奥志賀。ミスコースさえしなければ問題なくクリアできたのに…なんて思っていましたが、いま、400 の試走を走り切って振り返ってみると、そんなことはなかったかもしれないなあと苦笑いするしかないです。




 さて、参加者の楽しみを残すべく、今回の写真は極力無味乾燥なモノのみを用意させていただきました。出場される方、予定のある方は読んでってくださいな。

 


 


漬物「う、うーん、もうたべれないよ(むにゃむにゃ」

 と、寝汚い態をさらしている私に容赦なくアラームが襲い掛かったのは 03:00 のこと。よせばいいのにブルベ前日に食べ放題。たっぷり食べたのはいいのだけど、そういっぺんに消化して栄養素になるわけもなく、重いお腹をさすりさすりシャワーを浴びる羽目になるってだけ。

 準備していたジャージに身を包み、今回初投入のスポーツバルムのブルー2というシャモアクリームを塗りこむ。においはほとんどしないしスースーすることもなくていいねえこれ。

 朝ごはんを食べるための胃の容量なんかあるわけもないので、準備を終えたら自動車で移動。池月には 05:00 に到着。結構ギリギリだ。

 試走班は私と K ご夫妻。グランフォンド飯豊では私より早くゴールし、1000 や PBP にも参加経験のある猛者。きょ、今日はそれぞれで走りましょうねと言い置いてスタートである。K ご夫妻に遅れること5分、05:35 にスタート。

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 横風に近い追い風スタート。脚もくるくる回るのだけど、いかんせん暑いのでキャストオフ。今回アウターとして投入したのはキャノンデールのモーフィスジャケット。防風・防水効果もさることながら、腕をとるとベストに早変わり。着脱はマグネットなので結構すばやくメタモルフォーゼできるのが強み。今回は本当にこれに助けられたなあ。

 山形の天気予報は土日ともに曇り。出発時には日はさしているけど風が強い、といった程度。これはおそらく、降ってもぱらぱらくらいだろ。

 ルートラボでも国土地理院の地図でもきちんと確認したはずなのに、開始早々山越えときたもんだ。平地に見えたのはおそらく「…であってほしい」という願望のなせる業。

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 気温も上がってきたところ、汗をかきかきクリアーし、ブラインドカーブのみで構成されたくだりをてーっとくだる。汗が冷えてきもちいい!

 下りきると右折ポイント。予定通り伊藤商店のちょっと先の自販機で水分補給。自分で設定した制限時間よりは10分程度だけど余裕があることに満足。

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 ちなみに「予定」と言うのはこれのこと。

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 無理に PC まで行ったり目についたコンビニへ無計画に寄らず、20~30kmで必ず休憩をとることにしているのだけど、その予定表がコレ。透明な iPhone ケースに入れていつでも見ることができるという優れもの。
 ポイントをGPS に入れてもいいのだけど、一覧で見ることができるとペースを作る目安になるのが気に入ってる。コースプロファイル(高低図)を重ねて印字しておけばもっとよかったんだけど。

 40km 地点ではダートコースがありますよ。

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 ほんのちょびっとなので、無理に速度を上げて駆け抜けようとさえしなければ無問題。
そして PC1 セブンイレブン尾花沢新町一丁目店へは 08:50 に到着。1時間の貯金。予定より50分速いペース。少しペースを落とそうかな。

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 食べたものは、ハムサンド、 飲むヨーグルト、チーズバーガー。空腹感はないものの、好きなモノなら食べれるわけです。自分の胃腸には御飯系は合わないようなので、パンが中心。

 36km先までコンビニはないので、ツナサラダロールは食べずにとっておき、先を目指します。次の休憩ポイントは 87.2km 地点の路上(笑

 …と言いたいところですが、ここでミスコース。キューシートには「大将商店の看板」と書いてあるんだけど見えにくいのよね。

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 コースは風光明媚。若干雨雲が混ざりつつありますが、自分の足で高いところまで行ってるんだなあと実感できる良いコース。

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 これは、あれだ。降るな…という予感とそれを信じたくない気持ちがせめぎ合う中、休憩ポイントに到着直前で自販機を発見。グリーンダカラちゃんをごくごく。

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 etrex30 上には 4 つのデータを表示しています。左上から時計回りに、「グロスの平均時間」「グロスタイム」「次のポイントまでの距離」「次のポイント」です。総走行距離はサイコンに頼り、現在の時間は腕時計あるいは、スタート時間にグロスタイムを足したもので監理していますよ。5時35分スタートで4時間半が経過してるので、現在は10時05分、ということになるわけ。さてみなさま、路面がぬれていることに気づかれましたか…?

 歩を進め、ついたコンビニはサンクス最上戸沢店。

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 残念ながら本降りになってきた雨のため、サイクルベースあさひのレインパンツをここで装着。着心地はなかなかグッド。そして、ケツの痛みが多少出てきたのでスポーツバルムを増量。おお、なんだ、ケツがポインポインする。スポーツバルムが良いのか、レインパンツとサドルの相性がいいのかどっちなんだろ。モーフィスジャケットの腕の部分も戻して雨に対して完全装備。アリナミンVをぐいっと飲み干す。

 13km 走れば PC2。短い距離を刻むのが性にあってるみたい。

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 ずぶ濡れ…。
 ここでは飲むヨーグルトだけ購入して離脱。先行していた K ご夫妻をパス。といってもまあ、すぐ追いつかれるんだろうけど。

 せっかく雨装備を着こんだというのに、徐々に雨脚は弱くなり、気温も上昇。暑い暑い。目についた自販機のところでジャケットを脱ぎ、レインパンツを抜き、水分補給。グランフォンド飯豊で痛い目にあっているので、塩飴やBCAA飴をしゃぶりつつ水を飲む。これで雨も終わりかあ。

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 休憩ポイントはサンクス遊佐西浜店。宮城1000でも宮城300でもお世話になったあのコンビニです。晴れているここを見るのは初めて(苦笑

 大好物の冷やし中華を食べる。酸っぱいのがとってもおいしい。PC1 から持ってきたままのツナロールもここで消費。危うく腐らせるとこだった。

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 暑いブルベの時にはフェイスシートっていうの?あの、アルコールとかが入っててスーッとする奴。アレがあってもいいかも。顔は塩でじゃりじゃりで、こすっただけで皮膚が傷つきそうなんだもの。

 さて次は PC3 …の前に鳥海ブルーラインを越えなければいけません。ボトルに水を補充し、チョリソーパンとホットケーキっぽいパン(これも大好物)を購入。通過チェックである大平山荘に自販機くらいはあるでしょうが、食事が賄えるかはわからないので多めに持っていきますよ。

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 でたー、でましたー。鳥海ブルーライン!ああええと、多くは語りませんが、なぜ今回の名称が「鳥海山」ではなく「鳥海高原」となっているかは一度考えてみてもいいかもしれませんね。

 来週は象潟の方から登るヒルクライム大会があるそうで、きまぐれ Shift のガチクライマー Nさんと、ジテツウ20kmをBD-1でこなす S 女史が出るらしいですね。遊佐側から登るより象潟側の方から登る方が非道いらしいですよ。とはいっても、こちらから側だって

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 こんなのがごろごろしてます。マゾですね。マゾヒズム全開です。

 こちらがひーこらひーこらばひんばひんとペダルを漕いでいる横を音もなく近づいてきたローディの方が「なんかイベントでもあるんですかー」と。「ブルベの試走なんですよー、400kmの」と答えたところ何言ってんだお前みたいな顔をされました。いやまあ、うん、デスヨネー。

 力強いダンシングをするその方を見送った後は放屁と鼻歌タイム。そろそろ胃腸が根を挙げたのか、昨夜の食べ放題が行けなかったのか、結構な音量の屁がさっぱりとまりません。10%、10%、6% などの表示を見るにつけ、ボクの天城越え、恋のヒメヒメペッタンコ、ホテルカリフォルニア、夢芝居、ルビーの指輪などがむなしく

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 一面の霧雨に飲まれるのであった。せっかくレインウェアぬいだってのに汗と霧(雲?)でずぶ濡れだっつーの。

 そんなこんなでようやく大平山荘へ到着。「おおひら」かと思ってましたが「おおだいら」なんですな。まずは何するよりも先に大物忌神社へ参拝。うろ覚えではあるけれど鳥居の前で一礼し、真ん中を通らず行ってお賽銭を入れ、二礼二拍一礼。来週のランドヌール達が無事故無違反で無事通過できることを念入りに祈っておきます。

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 こちらは鶴岡高専の誘致に尽力をなさった菅原 兵治氏の詩碑。隣には東北振興の碑も。こちらは、東北「が」振興するようにという意味合いのモノではなく。東北「から」振興しますようにという碑であることが大事なのです。震災の復興が成って、日本全体の振興となりますように。

 大平山荘内部はマラソン大会後の表彰式で大盛り上がり。そのさなか、水道をお借りして頭と顔をリフレッシュ。ソルティライチと水を購入し、ボトルの中身もリフレッシュ。レインウェアをバッチリ着込んで、いざ行かん、ダウンヒル、と鼻息も荒く出口に向かうと K ご夫妻に出会えた!お互いの健闘を祈りながら私が先行。

 さぁて。風予報が当たっていればここが最後の向かい風ポイント。あとは追い風になるはずだ!いっくぜー。

 もちろんダウンヒル中の写真なんかありませんよ。結果から言うと大変危険なダウンヒルでした。気温は12度。視界は霧で10mくらい。つづら折れを曲がった瞬間に息もできなくなるくらいの向かい風が襲い掛かる。ある意味ブレーキになってくれているのでいいっちゃいいんですが、地味に体力精神力にダメージが…。

 這う這うの態で鳥海山を折りきると下りでミスコース。

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 地図上では間違えようがないところなんだけど、現地に行くとビックリすること請け合い。ちなみに、本来のルートのほうがいろんな意味で環境が悪くて危ないので気を付けてくださいな。

 えーこっちかよーという道を再度通り、 ※未確定情報の為削除
PC3 のローソン象潟才の神店へ向かいます。

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 ぱらぱらと雨が降ってはやんでを繰り返し、うーん、と悩んでここで雨装備を脱ぐことに。飲むヨーグルトと単三電池を購入し、持ってきたチョリソーパンをはむはむ。うん、そろそろ逆流性食道炎がくるころだわよ。ホットケーキは私の中ではご褒美なので
剥いてしまうだけ。濃い200kmだったなあ。さて、折り返しましょう。メインステージ、鳥海高原が、今始まる。

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 すごいでしょ。鳥海山をさんざん登らせた後に 7% だの 6% だのの坂をさらに超えさせられるんですから。時間が速ければこんな絶景が見えます。真ん中あたり、派手に雨が降ってる気がしますなあ(gkbr

 雨にしか言及していませんが、風はですね、一瞬追い風になりましたよ、良くわからないくらいでしたが。鳥海山ではあんなにぶいぶい言わせていた風が下りた瞬間これかよと呪詛の一つも吐きたくなりますが…まあ、おそらく、あの防風ともいえる向かい風は大物忌神社からのブレーキアシストだったのかもしれませんね。

 なーんて考えながらひたすら登ります。フラペだと普通の靴なので躊躇なく降車できるのがいいところ。ガンダムチックな雰囲気の風車をパチリ。

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 さて、このあたりで本降りの雨につかまりました。この先のトンネルの中でいそいそと着替えをし、PC4についたのが19:57。1時間20分ほど余裕があるものの油断なんかできませんよ。

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 ずぶ濡れで寒い寒い。なんか暖かいものが食べたい、と商品を見渡してもどうも油っこいものばかり。見つけたのは焼うどん。あとは蜆の味噌汁。カップラーメンをチョイスする勇気はなかったんだけど、今思えば行けたなあ。この他、カフェインを投入するべくエビアンを購入。1週間ほど前からなんとなくカフェイン断ちをしていたので、ここで投入すればバッチリ効くっしょ…とメイタンの黒を溶かしてのむ。んー。んー?カフェイン量は100mg。それなりにガツンと来るはずなんだけど、断ち方があまかったか。

 次の休憩ポイントである「コンビニエンスSATO」は2000時閉店だったはずなので間に合うわけもなく、適当に20kmくらい走って休憩。眠い。メイタンを薄くのばしすぎちゃったのか?

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 日もとっぷり暮れ、雨と風が体に降りかかり気持ちは萎えてますが、元気です。中華ライトは200ルーメンってことになってるけど、バッテリーが合わないのかな?おそらくGENTOSと同じ明るさを広範囲で照らしてくれるくらいになってる。二つあれば十分足りるかもしれないので、次回は中華ライトx2で臨みたい所存。

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 PC5 のローソン雄勝町店ではこの濡れっぷり。寒いんだよ…マジで…。23:27分到着なので、貯金は1時間半を一応キープしてることにはなる。ロイヤルミルクティを購入し、一息。コンビニがカフェと称してコーヒーや紅茶をドリップしてくれるのは本当にありがたいことであるなあ。

 本当はここで着替えるつもりだったのだけど、着替えてもすぐに濡れてしまうのは明白っていうかもうバシャバシャ言うくらいの大雨。なかなか出発する気に慣れずうだうだするものの、じっとしていれば体も冷えてしまう。

 そういえば―道の駅おがちがすぐそこで、シャワーもあるし仮眠もできる素敵施設なんだよねえ。おそらく利用していたら、ここで DNF だったと思う。暖かくなって、着替えもして、さっぱりして、仮眠して…あと 100km なら明日走れば帰れるだろうと悪魔がささやくに決まってらぁ―としばし逡巡。

 結局あきらめて次の佐原商店という謎のお店を目指す。2200時閉店だからすでにアレなんだけどね。

 雄勝トンネル。

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 到達したのはもちろん真夜中なんだけど、ママチャリで向こうから歌うたいながら超えてきた人がいてお互いにビビったりして。ありゃ酒飲んでたな?

 辛い、冷たい、寒い、痛い、という断片的な記憶を残しながら PC6 へ。見知った光景というのはそれだけでほっとするもんです。真室川!真室川!俺たちの真室川!

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 あとたったの 70km。こんなに遠い 70km はグランフォンド飯豊以来ってごく最近だな、と嗤える体力があったのは覚えてる。あの時は暑かったけど今は寒い。暖かいところは良いよね。ミャンマーとかいいよね、などとホットコーヒーを飲みながらご褒美のホットケーキをむさぼる。昔っからホットケーキ好きなんだよねえ。子供のころ兄貴と良く喧嘩したんだけど、母親が作ってくれたホットケーキを分けるときに喧嘩中にもかかわらず大きい方をどん、と分けてくれて。えらく感動したことを30年くらいたった今でも覚えてるくらいだもの。

 さて。車軸を流すような雨は相変わらず。あと 50km は登りなのよね。でもまあ、うん、ここまでくれば完走はできるでしょう。貯金も相変わらず1時間半ほど。毒を食らわば皿まで。

 次の休憩ポイントはファミリーマート新庄鳥越店。ここに来るまでに覚えていることは、暗くて冷たくて眠いということだけ。特に眠さは致命的なレベルになりそうなところまで来ているため、少し無理して脚を回す。積極的に回していれば眠気なんてなくなるぜ!と思っていたのもほんのちょっと。かなり前から感じていた右ひざの違和感がここで明確に痛みに変化。やっちまった…。

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 何とか到着。ようやく雨は小降りになり始めた。そういや、奥様からのメールじゃあ宮城県側は快晴だって話だった。雨が小降りになったんじゃなくて、自分が東に移動しただけか。

 ここで覚悟を決めて、トイレに籠る。
 全装備をキャストオフ。購入したフェイスタオルで体をリフレッシュ。ビブショーツは迷った挙句にそのまま着用。濡れたインナー、レーシャツ、バンダナはカバンの中へ。不覚にも薄手の長袖シャツしか持ってこなかったが乾いている衣服のなんと心地の良いことか。

 さっぱりしたところで眠眠打破をがぶ飲み。きつねうどんを食す。暖かいっていいなあ…とずるずるすすっていると雨がぱらぱら。「いい加減にしてくださいよー」と一人呟くと、数分後に雨が上がるというシャーマンっぷり。これは…もしや能力が開花してしまったのだろうか。

 とにもかくにもあと50km。膝を痛めてから 160km 走った初めてのブルベに比べれば楽生楽勝。行くぜ相棒。目指すは 20km 先のセブンイレブン最上大堀店。

 …と、意気揚々とできたのは 5km ほど。あまりの眠さに朦朧となり、危険と判断。10 分の仮眠をとることに。濡れたアスファルトに体を横たえて体温が奪われるのは嫌だったので胡坐のまますやすや。見る人が見れば即身仏みたいな恰好だったろうなあ。

 仮眠の力は侮れない。カフェインなんかよりよっぽど効果があるかもしれない(冬季をのぞく。死んじゃうからね。)。気づけば周りは明るくなり、温度も上がってきた。気分もいい。膝は痛いけどまだなんとかなる。奥さんに、あと 50km とメールしてから最上大堀店を目指す。

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 あっさり到着。眠気なんかと戦うもんじゃありませんよ。危険運転防止の観点からも、眠い時疲れているときはちゃんと寝ましょうね。何か食べ物を…と思ったものの、おそらく胃が受け付けないんじゃなかろうかと判断しウィダーインゼリー。これはおいしかった。

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 あと 40km。

 終わらない登り、痛みだす脚。確か「封人の家」を越えれば下り基調のはず。

 見えてくるのは中山平。奥様とお泊りデートしたふきゆ荘がみえてきた。

 鳴子峡。あのころは体力無くて 100m ほどで渡るのやめたんだっけ。

 くだる。くだる。ゴールまであともう少し。なのに。

 腹減った。

 これぁアカン、とヤマザキデイリーストアへ。朝ごはんくださーい。

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 黄な粉のおはぎをまふまふ言いながら食べ、残すところは後 10km。ミスコースを 3km しているのでちょっと表示はおかしいけれど、たった 10km、しかも下り基調。

 なのだが。

 足が痛い。右足が致命的に痛い。ダンシングすれば何とかなるけれど、シッティングが持たない。フラペの良さを活かしていろいろなポジションを試してみても何ともならない。おいおいウソだろ…。

 少し休憩。脚の屈伸。焦る気持ちは押さえら得ずに時計を見る。…あれ?まだ 25 時間ちょいじゃないか。焦る必要なんてないじゃん。

 おはぎの最後のひとかけらを口に押し込んで、もぐもぐ。「ゆるゆるいきまふふぁ」と一人ごち、口の中のものをお茶で流し込んでサドルをひとたたき。あともうちょっと。お願いしますよ。

 下り基調。おそるおそる足をペダルに乗せながらだましだまし。右ひざが悲鳴を上げないポイントをようやく発見。雨に打たれまくって油が切れたチェーンをきゅらきゅらさせながらなんと 35km/h で走る、走る。後 5km の地点で迎えに来てくれた奥さんの車とすれ違う。腕を大きく上げて挨拶をし、振り返らずにそのままひたすら回す、まわす。

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 ゴールしたのは6時55分。25時間25分で 400km を制覇したことになる。

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 先についていた奥さんに向かっていったのはいつものセリフ。

「やあ、非道い目にあった」

「おかえりなさい!すごいすごい!」

 支えてくれる家族あってのスタッフ業、ブルベだよなあと痛感しながら試走は終了。無事完走と相成りました。400 は 600 よりもつらいなんていう人も言いますが、これからあと 200km 走るよりは楽なんじゃないかな、とおもうんだけどなあ。



 いやあ、本当、非道い目にあいました。なんていうかね、ちょうどいい気候のブルべを走りたいですう。雨とか風とかいらねーよ、などとのたまっているとローラーブルべのお誘いが来そうなのであまり言いませんけどね!

 個人的な試走完走記はここまでとして、まじめな試走情報を下記しておきましょう。

1) どんな天候でもおそらく気温差はあります。それなりの装備を

2) 鳥海山はなんだかんだ言うても鬼門です。上りも、くだりも。
3) 右折が意外に多いですが、二段階右折するところはきちんとやりましょう。

4) ミスコースに気づいても復帰しやすいコースではあります。

5) 輜重は最重要。コンビニのない区間をいかに過ごすかは真剣に考えましょう。

6) 仮眠大事。仮眠ポイントは押さえておきましょう

7) 13号線は道も悪けりゃ車も多いと注意すべき区間です。お気を付けあそばせ。


 ああ、それと。
 コース上からも見えますが、川渡温泉はすぐそこにあります。ブルべ後にお風呂というのもおつなもんです。早くからやってるのは藤島旅館さん。私もブルべ後に行きましたが、長湯すると死ねますので、くれぐれも水分補給をしてからにしてくださいねー。



 それと、参考までに各PC到達時間と購入したものを書いておきます。何かの参考になれば…。

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08:50 PC1 尾花沢新町一丁目店 622円

 ツナサラダロール

 ハムサンド

 飲むヨーグルト

 チーズバーガー


10:55 サンクス最上戸沢店 302円
アリナミンV

11:53 PC2 セブンイレブン立川町狩川店 173円

飲むヨーグルト

13:37 サンクス遊佐西浜店 705円
冷やし中華

ふわもちホットケーキメープル&マーガリン
ロングアラビキチョリソーソーセージ



17:28 PC3 ローソン象潟才の神店 640円

飲むヨーグルト

 単三電池


19:57 PC4 ローソン由利本荘由利店 663円
 エビアン

 焼うどん

 しじみ味噌汁

20:58 ローソン由利本荘矢島店 173円
天然水1リットル


23:27 PC5 ローソン雄勝町店 216円
ロイヤルミルクティ



01:46 PC6 セブンイレブン真室川新橋店 100円
 ホットコーヒー



03:05 ファミリーマート新庄鳥越店 768円
フェイスタオル

 きつねうどん

 眠眠打破
(出るまで30分ほどうだうだ)


04:52 セブンイレブン最上大堀店 338円
ウィダーinゼリー

 ホットコーヒー


06:29 サンクス鳴子温泉店 249円
お茶

 黄な粉おはぎ



計:4,320円 プラス自動販売機(おそらく500円程度)

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2014年6月3日火曜日

風光明媚な地獄を見れるグランフォンド飯豊を走ってきました。

 どうもー、漬物さんです。やあ、ひでぇ目にあいました(開口一番)。



 これこそ東北のグランフォンドってな感じのグランフォンド飯豊。手作りの大会とはいえ、スタッフさんの人数は多いし、きっちりと準備もされているアットホームな大会。一番の魅力はその景色。新緑と雪のコントラストが美しい飯豊連峰を見ながらふと気づくと飯豊連峰に連行されるという信号無コンビニなしのオール山岳コース。
 そして、お楽しみは完走証。なんと、笹野一刀彫、お鷹ぽっぽ。この子を家に迎えるためにお父さんは頑張ったのでした。



 スタート時点の気温はすでに25度を超えており、コースは平均斜度 7%。景色は絶品。風もそんなにない。ボクらは銀輪を携え、風光明媚すぎる地獄へ挑むのである。

 

 と、スタート地点の話をする前に、私のロードの話をしなければなるまい。


 前回 Fleche に参加した後、郵送でロードを送り返したのだが、受け取った後にチェックをしてみると変速がぐっちゃぐちゃ。そう、ディレイラーハンガーが曲がってしまったわけである。
 修正器具で何とか修正してもらったものの、ディレイラーハンガーの修正はこれで3回目。流石にそろそろ新しいやつ用意したほうがいいよ、と言われて探し回ったものの、該当するものが見つからない。噂によると代理店経由でも手に入らないらしい。最後の望みをかけていつもお世話になっているベルエキップさんにお願いしたところ、新品がきちんと手に入った。


 喜び勇んで装着し、変速を調整するも全くかみ合わない。いろいろいじくりまわして妥協できるポイントを見つけるまで2時間。実走してみると、チェーンがスプロケットとスポークの間に落ちてしまう。まーた調整地獄…というのも嫌なので、今回はディレイラーハンガー交換しないことにした。


 そして当日…。


 朝0330時に起床し、米沢へ向けて出発。奥さんお手製のおにぎりをもぐもぐやりながら一路スタート地点を目指して運転する。道中ではグランフォンド飯豊のコースプロファイルが如何にアレかが話題の中心。
 正直、なんだかんだ言いつつも完走できるだろうという気持ちはあった。風雨にさらされた宮城 300 を制覇できたんだし。ブルベ以上にキツいことなんてない―そんな思いで米沢についたのが早朝0645時。せっかくだから上杉神社に戦勝祈願へ。


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 法人会の皆さんが大勢いて、一所懸命掃除をしている中をレーパンレーシャツ姿でのしのし歩く。成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成さぬは人の 成さぬなりけり。知っているフレーズのはずなのに妙に頭に響く。無事完走できますように、ダメそうでもなんとか家に帰れますようにと祈念してその場を後にする。


 スタート地点にはいろいろなところから来た変態さん(褒め言葉)約150人がいそいそと準備中。受付で「お、初参加ですね?がんばってください(うふふ)」と言われ、嬉しい反面、なんだかイケない場所に来てしまったような気持ちにもなり。


 ロードを組み立て、いざ試走。
 500m 走ったところでやっぱりチェーンがスプロケットの内側に落ちる。後輪がロックしあわててチェーンを引っ張り出し、再調整。再度走り出すとなんだか重い。タイヤがフレームに擦ってる。お、おいおい、マジか。


 うーん…これで 160km の山岳を走るってのは無謀以外の何物でもない。ここまで来て DNS ってのもなあ。米沢観光はとても魅力的ではあるけれど。奥様からはキシリウムエリートの後輪を使うかというオファーがあったものの、旦那としてそれはできまへん。何とか完走を。できれば二人でしたいところ。


 スポークレンチでなんとか振れ取りを試みるも、良くわからないままにスポークを捻るだけなのでどうにもならない。なんとかフレームにかすかに擦る程度まで直したところであきらめる。


 ゴトーさんとK先生、KOMAさんとご挨拶。ブリーフィングが始まり、歴戦のサイクリストがわらわらと集まって…みんな細いし速そうだし、なんつう場違いなところに来てしまったんだと後悔するのにはもう遅い。主催の星輪転の店長さんから注意事項が説明される。


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 なんじゃそりゃ、と会場にはてなマークが埋め尽くされた注意事項は「無銭飲食の禁止」。グランフォンド飯豊では3か所のエイドポイントがあるのだが、参加者でもないのにそこに来てパンを強奪する奴がいる、とのこと。チームジャージ着たまましれっとやる人がいるらしい…というか、結果から言うと、今年も現れたとのこと。オレンジ色のジャージだったって話ですけどね。パンすら買えないくらいなら自転車なんか乗ってんじゃないよ。働け。



 16人ずつのウェーブスタート。第一陣はレディースの皆さん。奥様もちょーんといらっしゃいましてえらく不安そう。


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 ランドヌール宮城のスタッフでもある K さんがおとなり。K さんに喰いついていけるようがんばるとは奥様の言。足切チェックで落ち合おうと約束し、元気に?スタートしていった。


 遅れること8分後、私もスタート。数m走った後に「後輪振れてますけど大丈夫ッスか」などと声をかけられ、ありがたいやら悲しいやら。シュッシュッとかすかに擦れる音がするのでバーストするのも時間の問題じゃないかなあ、などと思いながら走る。DNS が主催の方にも迷惑をかけない最良の選択であるとは分かっていつつも、走りきれれば問題はないんだよね、とナメた思考回路は我ながら不遜であるなあ。


 最初の市街地には信号や踏切が若干あるのでパチリ。皆さん良い笑顔。


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 走ればすぐに山岳地帯。見てよこの絶景。


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 風もなく、気温は高いけど不快なくらいではない。絶好の自転車日和。山岳は嫌いだけど山の空気はすきなのよね、とふんふん鼻歌交じりで飛ばす。宮城1000のスタッフでご一緒した英語堪能なNさんややまめの学校でお会いしたHさんたちとかるーくお話ししながら進む。


 最初の峠を越えると、第一チェックポイント兼第一エイドステーション。


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 ジャムパンが体にしみる!


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 一つ食べてもまだ空腹感があったので、もう一つイイですかーと聞いたところ帰りもここでエイドしているから、それを楽しみにしていてねとのこと。…うーん、ヤバい、手持ちの食料で足りるだろうか。


 すきっ腹を抱えながら第二チェックポイント、つまり、脚きりポイントへ向かう。平均6.7% と 5.6% の峠を越えて 32.7km 先へ行かなければならない。気温もだいぶ上がってきた。さぁて行けるかな?


 九才峠を越えた段階で計算すると、いろいろおかしい。いやちょっと待て、これどう考えても間に合わない。周りは意外に余裕そうだけど、山のてっぺんが足切ポイント。平地で稼がないと、山岳が苦手な私は絶対に間に合わない。


 錆びた貨車が現れるポイントまでは若干下り基調だったはず。これは行くしかない、と明らかに私より早そうな人たちを抜いて 40km/h で巡航。ブラケットの出っ張りを握り、腕をハンドルに置く簡易TTポジション。通勤車両がちょうどそれくらいのポジションなので逆に調子が良いんだけど、長くは持たない。


 山岳に入る手前で後続の方にぶち抜かれる。平均勾配 5.6% とはいうものの、内訳はこうなってる。


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 なんとかくるくると脚を回して。このころからケツが痛くなってきたのだが、構ってなんかいられない。ぎらぎらと照りつける太陽を恨みながらくるくるくるくる…。


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 11時5分前になんとか滑り込む。ひぃひぃ。水が、水が足りない。補給して、塩サプリを飲んで、ようやく一息つく。なんてこった、絶景じゃないか。


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 ランドヌール宮城のスタッフでもある K さんはご夫妻で参加なのです。健脚というのはこの人たちのためにある言葉だよなあ。そろそろ出ようかな、というときにお会いできて開口一番「奥さんは?すててきたの?」と聞かれてしまう始末。「いいいいや違うんです」「冷たいダンナだねえ!(爆笑」などという会話をしつつスタート。ちなみにK旦那さんは超紳士的なライダーで、奥様と必ず一緒にゴール。我々もかくありたいものです。


 先に行くよ、というメールも届かない世界なので、冷たいダンナは先を急ぐ。


 眼前には飯豊連峰。緑と白のコントラストが美しいのだけど、方向音痴かつ地理が壊滅的な私はまさかあそこに上ることになるなんて思ってもいなかったのだ。


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 はい、近づくとこうなりまーす。


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 第三チェックは1206時着。水が枯渇しており、その直前に湧水があるってことなのでそこで補給。ここではえいようかん、塩サプリ、飴各種をしゃぶる。なんにせよ、腹が減った。空腹感が半端ない。


 かてて加えて、肺がおかしい。呼吸してもしても酸素が入って行かない感じ。少し休めば落ち着くし、心拍数をあげなければなんとかなるだろう、とだましだまし坂を下りる。


 あの坂を登れば第四チェックポイント兼エイドステーションが見える(cf. 『あの坂を登れば』)と念じながら樽口峠をクリア。1257時。う、またジャムパンか…と思いきや、トマトあり、梅干ありとグレードアップ。梅干は本当にありがたかった。塩分が足りなさすぎる。東北人には塩が必要なんだぜと思いながら美味しくいただく。


 仙台は Proton のジャージを着た方としばし歓談。ストイックよねーと話しながらも元気そうな彼。私はどっちかっていうとゲンナリ。でも、この景色。


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 はあはあ言いながらまた坂を下る。流石にもうダメ。DNF したい。息は上がりっぱなしだし腹は減ったし木陰はないし…と下って、今度は百子沢峠にアタック。10%、14%の斜度にたまらず押し歩き。歩いているだけでハァハァ。参加者の皆さんに心配されながら這う這うの体で峠越え。そして下ったところに待望の木陰!


 倒れるように路肩へ自転車を止め、ひっくり返る。近くにスタッフの方がいて水場があるとのことなのでありがたくお水をいただく。頭にひっかぶると少し回復…ってこれはあれか、熱中症か。


 しばし寝転がってみるものの、参加者の皆さんに心配されまくるのも忍びなくて起き上がる。水を口に含んで、頭にかけて。亡くなった水を補給しようかとおもっていると地元のご家族が水をくみに来ていた。


 「おいしいですよー」「遠慮なくいただきまーす」「どこからきたんですか?」「米沢からです」「「ヨネザワ!?」」「え、ええ。で、いまからまた米沢にかえります」「どこ通って!?」「えーと、極楽峠を越えて九才峠を越えて、あと何個か超えて…」「はあ…」「馬鹿ですよねー」「馬鹿っていうか、やー、うん、自転車バカよね」などと明るい笑いを振りまき、再出発。ご家族に励まされたおかげでかなり精神的には回復。そうだ、お鷹ぽっぽを家に連れて帰らねばならぬ。


 そもそもなんでグランフォンド飯豊にエントリーしたのか、と言われれば理由は一つ。お鷹ぽっぽを連れて帰るため。実は我が家には奥さんが実家から持ってきたお鷹ぽっぽがいるのです。その子に連れ合いが居てもいいじゃない―というのがその理由。笹野一刀彫のキリッとした子なら文句はなかろう。と、見合い相手を押しつけるオバサンよろしく出走したわけである。


 とはいうものの、体の回復には至らない。極楽峠、九才峠はほぼ歩きでクリアー。足が攣り始め、乗ってられない。2RUNや電解質サプリを飲みながら、ひたすらに歩く。このあたりでメイドさん学科自転車部ジャージを見た気がする。そのあとは、福島市のキャラクターである「ももりん」ジャージを見ながらよろよろと第5チェック兼エイドステーションを目指す。お腹減った。水分足りない。自販機で炭酸でも飲めば気もまぎれたろうに、なんで俺は財布を持ってこなかった…。



 1550時にようやく第五チェックポイントに到着。


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 ま、またジャムパンか…美味しいんだよ、これ。おいしいんだけど、今欲しいのは塩分なんだ。梅干をまた頂き、食べたくはないけれど食べなければ持たないから、とジャムパンとバナナを無理やり押し込む。あいにーど塩分。なぜなら…


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 お分かりいただけるだろうか。皮膚の上で汗の塩分が結晶化するほどの状況。下の水場で頭と顔と腕を洗い、最後の 30km に挑む。たったの 30km。あと2時間。超余裕、のはずなのだが、なんでこんなに遠く感じるんだろう。たったの 30km だよ?


 菅沼峠を何とかパスするも、足が攣って仕方がない。玉庭峠も歩いてクリア。腹減った。腹が減った。メイタンの赤をしゃぶりながらなんとかならんもんかなあと一人ごちる。甘草芍薬等も持ってきてないし。何やってんだ。あんだけ事前調査でキツイってわかってるのにこの準備不足は致命的を通り越して阿呆の所業である。


 米沢まであと11kmという標識が見えて、徐々に道が街になって行く。跨線橋を越えた時、なんでこんなことやってんだ俺は。腹が減った。辛い。奥さんは無事に帰ったのかといろんな感情がごちゃ混ぜになってほんの少しだけ泣いた。本当にきついし、装備だけじゃないいろいろな準備不足が情けない。


 信号が現れ、見覚えのある街並みが見えて、なんだかよくわからないうちにゴール。お鷹ぽっぽを受け取って、凄く喜んだのを覚えてる。やったよ、やったよー!とおっさんが叫ぶ姿はさぞ奇異だったに違いない(苦笑


 奥様は会場にいた。
 「うぉーい、取ったどー」「おかえり!よくやったね!」「無事で良かったよ、心配したー」「よくまあゴールしたねえ!」などという会話を一通り終えてがっくり。「お腹減った…コーラ飲みたい…」


 総合公園の自販機の前にどっかりと座りこんでコーラを流し込み、人目をはばからずげーぷ、と一発。いやあ、本当にキツかった。でもまあ、歩いたけど、走り切れた。制限時間的には結構余裕だった。うん、と徐々に嬉しい気持ちがわき上がるものの、この心配の弱さと足が攣るポジションはまずいな、と反省する気持ちも大きい。


 うーむ。でもまあ、いまはいいや。お弁当食べてひとっ風呂浴びて、仙台に帰ろう。来年も出たいか、と言われれば苦笑いしかできないけれど、いつか「グランフォンド飯豊?アレはいいよー、景色最高だし、自分の実力もわかるし」なんてドヤ顔で語れるようになりたい。


 最後にスタッフの皆さんにご挨拶。やあ、本当に貴重な体験をさせていただいた。イベントの企画立案からスタッフの手配、食事の手配などなど本当に大変だったと思う。感謝。感謝。


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 しかし素晴らしい大会だった。写真なんかじゃ決して伝わらない景色、スタッフの皆さんの御苦労や気遣い、同じ参加者たちの悲喜こもごも、出会い。すべてが極上の体験だった。すこし思い上がっていた自分にはいい刺激だったなあ、と本当に思う。来年の開催、心より楽しみにしております。


 そして、私の自転車は入院。退院は今週中とのことで…トホホ。いつも一番迷惑をかけてるのは私の Cayo ちゃんであることは間違いないなあ。