2009年11月9日月曜日

古本



 仙台のさくら野百貨店では「萬葉堂書店 蔵出し古本市」が開かれておりまして。仙台駅前に所用があったのでふらふらと行ってみました。



 仙台の古本といえば、お店としては「火星の庭」さんが有名ですし、最近では「定禅寺ブックストリート」なるものも開催されるなど、結構活発な土地柄のようです。
 私の「古本」のイメージは「中古本」といった感覚、つまりは、定価より安く本が手に入る、というものです。さらに強いて言えば昔読んだあの本がどこかにあるんじゃないか的な、そんな感覚。



 ところが、今回古本市に行ってみたら…そういうイメージを完全にぶち壊す本が並んでおりました。この年でこういうカルチャーショックを受けることになるとは。こういう本が日本にもあるとは。

 と、ここまでは何の変哲もない古い本です。私の好きな谷崎潤一郎著、『春琴抄』。カバーをあけると…



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 昭和8年当時のお値段です。金額もさることながら旧漢字がいい味出してます。視線を右にずらすと…



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 どん。画像ではわかりにくいと思いますが、これ、表紙が漆で出来てるんですよ。木の板に漆を塗って、その上に金で「春琴抄」と書かれているわけですが…いやあ、こんな装丁の本があるとはおもわなんだ。美しいです。



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 持った感じはずっしりとしていて、漆が冷たく、けれどもしっとりと手になじむ感じ。鵙屋琴の驕慢さや冷酷さをあらわしているかのよう…というのは言い過ぎかもしれませんけれど、あのマゾヒズムとも違うなんともいえない世界を開ける扉としてふさわしいのではないかと感じましたよ。漆張りですよ漆張り。豪華ってもんじゃないわぁと大興奮。



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 中はこんな感じ。意外に読みにくくなかったりします。もちろん組版(文章のレイアウト)的には現代に比べるべくもありませんが、それがまたよい感じ。内容については以前の生放送(コミュニティ動画に登録してみました。期間限定。コミュ動画は貼れないのか…。)を見ていただけると、なんとなくこう、イメージしてもらえるかなぁと思います。耽美ですぜ。





 ちなみに、春琴抄は映像作品にもなっています。去年リメイクされたのがこちら。







1976年に撮影されたのがこちら。





 原作、一本目、二本目と春琴像が微妙に違うのが面白いですね。原作に忠実なのは2008年版。実は昨日見たのですが、陰影礼讃的な映像美。



ご興味があればぜひご一読いただければなぁ、なぁんて。



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